「石綿則」とは?│専門用語を簡単に解説!~アスベスト分析用語集~
こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
前回、前々回と「アスベスト事前調査」とその「報告書」について解説いたしましたが、本日はその根拠となる、大変重要な法律規則、「石綿則(せきめんそく)」について解説してまいります。
これは、アスベストを扱う全ての事業者が、作業員の安全を守るために必ず遵守せねばならない、いわば「安全作業のルールブック」なのであります。
少々難しく聞こえるやもしれませんが、ご安心ください。要点を押さえれば、決して恐れるに足りません。それでは、まいりましょう。

「石綿則(石綿障害予防規則)」とは

「石綿則」とは、正式名称を「石綿障害予防規則」といい、労働安全衛生法という大きな法律の下に定められた、アスベストから労働者の健康と安全を守るための具体的なルールを定めた厚生労働省の規則であります。
よく似た法律に「大気汚染防止法」がございますが、あちらが主に「周辺環境や住民を守る」ための法律であるのに対し、この「石綿則」は、現場で働く「作業員を守る」ことに特化しているのが特徴であります。
「石綿則」の重要性
アスベストの除去や解体作業は、一歩間違えれば作業員が大量のアスベスト粉じんを吸い込んでしまう、大変危険な作業であります。この石綿則は、そうした労働災害を絶対に起こさないために、事業者が何をすべきかを、非常に具体的に定めているからこそ重要なのです。
事前調査の義務から、作業方法、保護具の選定、健康診断、記録の保存に至るまで、アスベストに関わるほぼ全ての工程が、この規則によって管理されているのであります。
「石綿則」の主な規定内容
石綿則が事業者に求めている義務は多岐にわたりますが、特に重要なものをいくつかご紹介いたします。
- 事前調査の実施
全ての工事の前に、アスベストの有無を調査することが義務付けられています。 - 作業計画の作成と届出
アスベストの除去等を行う際は、どのように安全に作業を進めるかという計画書を作成し、労働基準監督署に届け出る必要がございます。 - 石綿作業主任者の選任
事業者は、専門の技能講習を修了した「石綿作業主任者」を選任し、その者の指揮のもとで作業を行わせなければなりません。 - ばく露防止措置
隔離や湿潤化など、作業員がアスベストを吸い込まないための具体的な措置を講じることが定められています。 - 保護具の使用
作業の危険度(レベル)に応じた、適切な防じんマスクや保護衣を労働者に使用させることが義務付けられています。 - 特別教育の実施
アスベストを扱う労働者に対し、その危険性や安全な作業方法についての教育を行う必要があります。 - 健康診断と記録の保存
アスベストを扱う労働者に対し、特殊健康診断を実施し、その記録を40年間保存しなければなりません。
たっくんの
ワンポイントアドバイス!
本日は「石綿則」について解説いたしましたが、その重要性をご理解いただけましたでしょうか。
- 作業員の安全を守るための「絶対的なルール」です
「大気汚染防止法」が「外」への配慮だとすれば、石綿則は「内」(現場)の安全を守るための規則であります。この両輪があって初めて、安全な工事が実現するのであります。 - すべての義務の出発点は「事前調査」にあります
作業計画も、保護具の選定も、すべては「そこにアスベストがあるかどうか」「どのレベルのアスベストか」が分からなければ始まりません。つまり、石綿則を遵守するための第一歩こそが、正確な事前調査なのであります。 - 違反には厳しい罰則が科せられます
石綿則の多くの規定は、その上位法である労働安全衛生法に基づいています。もしこれらの義務に違反した場合、同法の罰則規定により、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる可能性がございます。
さらに詳しく知りたい方へ
本日は石綿則の概要を解説いたしましたが、この規則で定められている具体的な対策については、コラム記事の「アスベスト対策の基本|適切な保護具(マスク・防護服)の選び方」で詳しく解説しております。
また、この規則で最も基本となる義務については、用語集の「アスベスト事前調査」も併せてご確認いただくと、より理解が深まります。
石綿則の遵守に不可欠な、すべての対策の前提となる「アスベストの有無の確定」には、信頼性の高いアスベスト分析が欠かせません。その際は、ぜひ私たちHAKUTOアスベスト分析センターにご用命ください。
よく見られている用語
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