アスベスト分析

「アスベスト分析」とは？│専門用語を簡単に解説！～アスベスト分析用語集～

こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
アスベスト事前調査において、設計図書による図面調査や専門家による目視調査を行っても、建材にアスベストが含まれているかどうかを100%確定させることはできません。なぜなら、アスベストは極めて繊維が細かく、肉眼でその有無を判断することは不可能だからであります。

そこで登場するのが、私たち分析機関の専門領域である「アスベスト分析」であります。

本日は、アスベスト対策の根幹をなす、この科学的な分析とはどのようなものなのか、その必要性から具体的な手法、そして分析機関の選び方まで、詳しく解説してまいりましょう。

「アスベスト分析」とは

アスベスト分析とは、建材の一部を試料（検体）として採取し、その中にアスベスト繊維が含まれているか、含まれている場合はその種類と量を科学的に調べる作業のことを指します。

主に「偏光顕微鏡」や「X線回折装置」といった専門の機器を用いて、熟練した分析員がJIS規格（日本産業規格）に定められた厳格な手順に沿って分析を行います。

この分析結果によって初めて、「アスベスト含有の有無」という揺るぎない事実が確定し、法に基づいた適切な対策（除去工事の要否や工法の選定など）を講じることが可能となるのであります。

アスベスト分析の主な流れ

アスベスト分析は、一般的に以下の流れで進められます。

現地調査と検体採取: 建築物石綿含有建材調査者などの有資格者が現地調査を行い、分析が必要と判断された建材から試料を採取します。
分析機関への依頼: 採取された試料は、私たちのような専門の分析機関に送られます。
分析の実施: 依頼内容に基づき、定性分析や定量分析を行います。
分析報告書の発行: 分析結果をまとめた正式な分析報告書が発行され、お客様（調査会社様や建物の所有者様）に提出されます。

定性分析と定量分析の違い

アスベスト分析には、目的の異なる2つの主要な方法があります。

定性分析

建材に「アスベストが含まれているか、いないか（有無）」を調べる分析であります。また、含まれている場合は、クリソタイル（白石綿）やアモサイト（茶石綿）といった「6種類のどのタイプのアスベストか」を特定します。石綿障害予防規則で原則として求められているのは、この定性分析であります。

定量分析

建材にアスベストが「どのくらいの割合（重量パーセント濃度）で含まれているか」を調べる分析であります。アスベストの含有率が0.1%を超えるかどうかは、法律上のアスベスト含有建材の定義に関わる重要な基準となります。

信頼できるアスベスト分析機関の選び方

アスベスト分析は、どの機関に依頼しても同じ結果が出るわけではありません。分析の精度は、その機関の技術力や設備に大きく左右されます。信頼できる分析機関を選ぶためのポイントは以下の通りです。

JIS A 1481シリーズに対応しているか: JIS規格は、アスベスト分析の公的な標準手法です。この規格に準拠した分析を行っているかどうかが、信頼性の最も重要な指標となります。
認定機関であるか: 厚生労働省やJIS規格の認定を受けている機関は、高い技術力と信頼性を持つと判断できます。
実績が豊富か: 様々な種類の建材の分析実績が豊富な機関は、経験に基づいた正確な判断が期待できます。

たっくんの
ワンポイントアドバイス！

本日は「アスベスト分析」について解説いたしましたが、ご理解いただけましたでしょうか。最後に、重要な点をまとめておきましょう。

ポイント1
アスベストの有無を最終的に確定できる唯一の方法が「アスベスト分析」であります。目視調査だけでは不十分であり、分析こそが科学的根拠となります。
ポイント2
分析には、有無を調べる「定性分析」と、含有率を調べる「定量分析」の2種類があります。法律で基本的に求められるのは定性分析であります。
ポイント3
分析を依頼する際は、JIS規格に対応した、信頼と実績のある分析機関を選ぶことが、正確な結果を得るための鍵となりますぞ。