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2025.08.14

アスベストが使用禁止になったのはいつから?年代別の建材とリスク

「うちの家は1990年築だけど、アスベストは使われている?」
「2000年代の建物なら、もう安心って本当?」

ご自宅や管理物件の安全性について考えるとき、「いつからアスベストは禁止されたのか」という点は、多くの方が抱く根本的な疑問です。この答えを知ることは、建物のリスクを判断する上で非常に重要となります。

しかし、アスベストの規制は、ある日突然すべてが禁止されたわけではありません。長い年月をかけて段階的に強化されてきたため、その歴史は少し複雑です。

この記事では、専門家の視点から、日本のアスベスト規制の歴史を分かりやすく紐解き、

  • いつ、何が禁止されてきたのかという年代別の流れ
  • それぞれの時代に、どのような建材が使われ、どんなリスクがあるのか
  • ご自身の建物の築年数からリスクを判断する目安

について、詳しく解説していきます。

結論:アスベストの原則全面禁止は2006年(平成18年)から

先に結論からお伝えすると、日本でアスベスト(石綿)含有率0.1重量%を超える製品の製造・使用などが原則として全面的に禁止されたのは、2006年(平成18年)9月1日からです。

ただし、これは「2006年9月以降に建てられた建物は100%安全」ということでも、「それ以前の建物はすべて危険」ということでもありません。重要なのは、禁止される以前に建てられた数多くの建物に、今もアスベストが残存しているという事実です。そのリスクを正しく理解するために、規制の歴史を年代ごとに見ていきましょう。

【年代別】アスベスト規制の歴史と建材リスク

~1975年最も使用量が多く、リスクが高い時代

日本の高度経済成長期にあたり、アスベストは「奇跡の鉱物」として、耐火性・断熱性・耐久性を高める安価な建材として爆発的に普及しました。特に、鉄骨造のビルやマンションの耐火被覆材として、最も危険性が高い「吹付けアスベスト(レベル1)」が大量に使用されたのがこの時代です。この時期に建てられた鉄骨建築物は、最も高いレベルのリスクを抱えている可能性があります。

1975年~1995年段階的な規制の始まり

アスベストの健康被害が社会問題化し、国が初めて規制に乗り出した時代です。1975年に、特に飛散性が高い吹付けアスベストが原則禁止されました。しかし、禁止されたのは吹付け作業のみであり、スレート屋根、外壁材、Pタイル、保温材といった、アスベストを固めた「レベル3」の建材は、依然として大量に製造・使用され続けました。現在問題となっている建物の多くは、この時期に建てられたものです。

1995年~2004年代替化の加速と規制強化

1995年には、より毒性が強いとされる青石綿(クロシドライト)と茶石綿(アモサイト)の使用が禁止され、アスベストの代替化(ノンアスベスト製品への移行)が大きく進みました。しかし、比較的安全とされた白石綿(クリソタイル)は、2004年までスレート材や外壁サイディング、Pタイルなどの建材に使用され続けました。この時期の建材は、アスベスト含有・非含有が混在しており、判断が難しいのが特徴です。

2004年~2006年全面禁止への最終段階

2004年10月、国は石綿含有量が1重量%を超える製品の製造・使用を原則禁止しました。これにより、スレートなどの建材をはじめ、ほとんどのアスベスト製品が市場から姿を消しました。この規制が、実質的なアスベスト建材の終焉と言えます。

2006年9月以降原則、全面禁止へ

そして2006年9月、規制はさらに厳しくなり、石綿含有量が0.1重量%を超える製品の製造・使用が原則として全面的に禁止されました。これにより、アスベストの歴史に一つの区切りが打たれました。

我が家は大丈夫?築年数からリスクを判断する方法

これまでの歴史を踏まえ、ご自宅の築年数からリスクを大まかに判断する目安をまとめました。

  • 1975年以前に建築:【特に注意】
    吹付けアスベストなど、最も危険なレベル1建材が使われている可能性があります。専門家による調査を強く推奨します。
  • 1975年~2004年頃に建築:【注意が必要】
    屋根や外壁、床材、断熱材などにアスベスト含有建材が使われている可能性が高い年代です。解体やリフォームの前には、事前調査が不可欠です。
  • 2005年~2006年8月に建築:【可能性は低いがゼロではない】
    ほとんどの建材はノンアスベスト化されていますが、一部の製品ではまだ使用されていた可能性があります。
  • 2006年9月以降に建築:【リスクは極めて低い】
    原則としてアスベスト建材は使用されていません。

年代だけでは判断できない!分析調査の重要性

築年数は非常に有力な情報ですが、それだけでは100%の判断はできません。なぜなら、過去のリフォームで部分的に古い建材が使われていたり、図面と実際の施工内容が異なっていたりするケースも少なくないからです。

「たぶん大丈夫だろう」という憶測で解体やリフォームを進めてしまうのは、非常に危険です。
建材にアスベストが含まれているかどうかを、科学的根拠に基づいて100%確定できる唯一の方法は、専門機関による「分析調査」です。

アスベストの禁止年を正しく理解し、適切な対策を

アスベストの規制は長い年月をかけて段階的に進められてきました。重要なポイントを振り返りましょう。

  • アスベスト含有製品の原則全面禁止は2006年9月から。
  • 特に2004年以前に建てられた建物は、アスベスト含有のリスクが高い。
  • 最も危険な吹付けアスベストは、主に1975年以前の建物に注意。
  • 築年数はあくまで目安。最終的な確定には「分析調査」が不可欠。

ご自宅の建築年を確認し、この記事を参考にリスクを把握してみてください。そして、もし少しでも不安を感じたり、解体・リフォームを計画されていたりする場合は、ぜひ一度、私たちHUTOアスベスト分析センターにご相談ください。正確な分析で、あなたの不安を「安心」に変えるお手伝いをいたします。

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

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