アスベストの主な症状とは?咳や息切れなど、気になる初期サインと潜伏期間

「最近、咳や息切れが続くな…昔の職場や、古い家に住んでいたことと関係があるのだろうか?」
アスベストという言葉を知れば知るほど、ご自身の健康について、そのような不安を感じる方がいらっしゃるかもしれません。
本記事では、アスベストが引き起こす健康被害について、「主な症状」「病気の名前」、そして「潜伏期間」という3つの観点から、専門家として解説します。
【大変重要なご注意】
この記事は、アスベスト関連疾患に関する情報提供を目的としており、医学的な診断を行うものではございません。咳や息切れなどの症状が気になる方は、必ず呼吸器内科などの専門の医療機関を受診してください。
目次
特徴アスベストの健康被害は「長い潜伏期間」を経て現れる
まず、アスベストによる健康被害を理解する上で最も重要なのが、「潜伏期間が非常に長い」という事実です。
アスベストを吸い込んでも、すぐに症状が出ることはありません。体内に侵入したアスベスト繊維が、長い年月をかけて肺などの組織を傷つけ、一般的に20年~50年という長い期間を経てから、病気を発症させます。
したがって、現在の症状を考える際には、「今」の環境だけでなく、「数十年前にどのような環境で働き、生活していたか」が、極めて重要な情報となります。
アスベストが引き起こす代表的な3つの病気

アスベストが原因で発症する代表的な病気は、主に以下の3つです。
病気1悪性中皮腫(あくせいちゅうひしゅ)
これは、肺を覆う胸膜や、お腹の臓器を覆う腹膜などにできる、悪性度の高いがんです。悪性中皮腫は、そのほとんどがアスベストばく露が原因とされる、極めて特異的な病気です。
主な初期サイン
- 息切れ、胸の痛み、咳、原因不明の体重減少、腹部の張りや痛みなど。
病気2肺がん
気管支や肺胞の細胞から発生するがんです。アスベストばく露は、肺がんのリスクを約5倍高めると言われています。
重要な注意点
- 喫煙との相乗効果が非常に大きいことが分かっています。アスベストばく露と喫煙の両方の習慣がある場合、肺がんのリスクは数十倍にも跳ね上がるとされています。
主な初期サイン
- 長引く咳、血の混じった痰、胸の痛み、息切れ、声のかすれなど。
病気3石綿肺(せきめんはい/アスベストはい)
これは、がんではありません。肺がアスベスト繊維を大量に吸い込むことで、肺の組織が硬くなる「線維化」を起こし、呼吸が困難になる病気です。「じん肺」の一種に分類されます。
主な初期サイン
- 運動時の息切れ(階段を上るのが辛いなど)、痰を伴わない乾いた咳、呼吸困難など。
その他関連する疾患について
上記の3つ以外にも、以下のような病気を引き起こすことが知られています。
- びまん性胸膜肥厚: 肺を覆う胸膜が、広範囲にわたって厚くなる病気です。呼吸機能の低下を引き起こします。
- 良性石綿胸水: 胸膜に水がたまる病気です。胸の痛みや発熱を伴うことがあります。
「初期サイン」に気づいたらどうすべきか
もし、ご紹介したような症状に心当たりがある場合、以下のステップで行動することをお勧めします。
- 専門の医療機関を受診する
まずは、呼吸器内科などの専門医を受診し、症状を詳しく相談してください。その際、次のステップが大変重要になります。 - 過去の職歴や住環境を医師に伝える
「いつ頃、どのような仕事(特に建設業など)をしていたか」「いつ頃、どのような建物に住んでいたか」といった、過去のアスベストばく露の可能性に関する情報を、できる限り詳しく医師に伝えてください。これが、正確な診断への重要な手がかりとなります。 - 現在の環境の不安を取り除く
過去のばく露が病気の原因だとしても、「今住んでいるこの家は大丈夫だろうか?」という新たな不安が生まれるかもしれません。現在の環境におけるリスクを明確にすることが、未来の健康を守るためには不可欠です。
不安な症状はまず医師へ、環境の不安は専門家へ相談を
アスベストによる健康被害について、重要なポイントをまとめます。
- 症状が出るまでには20年以上の長い潜伏期間がある。
- 代表的な病気は「悪性中皮腫」「肺がん」「石綿肺」。
- 咳や息切れは重要なサインだが、自己判断はせず、必ず専門の医療機関を受診する。
- 未来の健康を守るため、現在の環境に不安があれば、専門家による調査・分析を検討する。
さらに詳しく知りたい方へ
現在の環境における具体的なリスクの確認方法については、コラム記事「アスベストの見分け方を専門家が解説|写真で見る建材別の特徴」で詳しく解説しておりますので、ご参照ください。
また、環境に関する不安の解消は、私たちHAKUTOアスベスト分析センターがお手伝いいたします。お気軽にご相談ください。
アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。