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2025.09.11

アスベスト事前調査が不要・対象外となるケースとは?条件を徹底解説

「うちの工事は小規模だから、アスベストの事前調査はやらなくてもいいのでは?」
「木材を切るだけなのに、本当に調査は必要なの?」

2022年4月から原則として全ての解体・改修工事で義務化されたアスベスト事前調査。コンプライアンス遵守と安全確保に不可欠な一方、事業者様にとっては「できれば調査の手間やコストを避けたい」というのが正直なところかもしれません。

実際に、法律ではごく一部の例外的なケースにおいて、事前調査が不要・対象外となる条件が定められています。しかし、その条件は非常に厳格かつ限定的であり、安易な自己判断は、法律違反や重大な飛散事故に繋がる大きなリスクを伴います。

この記事では、専門家の視点から、

  • 事前調査が不要となる、法律で定められた4つのケース
  • 多くの人が間違いやすい「よくある誤解」
  • 判断に迷った際の、最も安全な対処法

について、徹底的に解説していきます。まず大原則として、現在の法律では、工事の規模や金額に関わらず、原則として「全ての解体・改修工事」で事前調査が義務付けられている点をご理解ください。

【条件別】事前調査が不要となるケース

ケース1極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業

建材をほとんど損傷させない、ごくごく軽微な作業は事前調査の対象外となります。

具体例

  • 釘を打って物を固定する、ビスを揉む、といった作業
  • 電動ドライバーでビスを抜く、といった作業
  • 既存の塗装の上から、新しい塗装を塗り重ねる作業

注意点

これは、「電動ドリルで下穴を開ける」といった作業は対象となることを意味します。エアコンの設置で配管用の穴を開ける、壁に点検口を設けるといった、建材を貫通させたり、切断・除去したりする作業は、たとえ規模が小さくても事前調査が必要です。

ケース2アスベストが含まれていないことが明らかな建材のみの工事

除去・改修する対象の建材が、社会通念上、アスベストを含まないと判断できるもので構成されている場合は、調査は不要です。

具体例

  • 木材(木、合板など)
  • 金属(鋼材、アルミサッシ、ステンレスなど)
  • ガラス、陶磁器
  • 畳、電球

注意点

この条件で最も注意すべきは、「その作業で、他の建材に影響が及ばないか」という点です。例えば、「木製の壁を撤去する」という作業でも、その奥に石膏ボードの下地があれば、その石膏ボードは調査対象となります。「畳を交換する」作業でも、床の下地材(ビニル床タイルなど)を剥がすのであれば、その下地材は調査対象となります。

ケース32006年9月1日以降に着工した建築物

アスベスト含有製品の製造・使用は、2006年9月1日に原則全面禁止となりました。そのため、この日付以降に着工されたことが設計図書などの書面で明らかな建築物については、アスベスト含有建材が使用されていないと判断でき、事前調査は不要となります。

注意点

あくまで「着工日」であり、「竣工日(完成日)」ではない点にご注意ください。また、2006年9月以前に建てられた建物を、2006年9月以降に改修した場合、その改修部分に古い建材が使われている可能性もゼロではありません。書面で着工年月日が確認できない場合は、この例外には該当しません。

ケース4既存の塗膜の上から塗装する作業

既存の塗装を剥がさず、その上から新しい塗料を塗り重ねるだけの作業は、建材の損傷を伴わないため調査不要です。ただし、これはあくまで「塗り重ね」の場合に限られます。

塗装工事で一般的に行われる、高圧洗浄やケレン(古い塗膜を剥がす作業)は、下地を損傷させるため事前調査が必須となります。特に、2004年以前の「石綿含有仕上塗材」が使われている外壁の場合、ケレン作業はレベル3の対策が必要な、飛散リスクの高い作業となります。

よくある誤解:「100万円未満の工事」は調査不要?

これは、非常によくある間違いです。
「請負金額100万円未満の改修工事」や「解体部分の床面積80㎡未満の解体工事」は、事前調査が不要なのではなく、「事前調査結果の、行政への電子報告が不要」なだけです。
事前調査そのものは、これらの規模の工事であっても、法律で義務付けられています。この点を混同しないよう、くれぐれもご注意ください。

自己判断は禁物。迷ったら専門家への相談を

アスベスト事前調査が不要となるケースは、法律で厳格に定められており、その範囲は非常に限定的です。

  • 釘を打つなどのごく軽微な作業
  • 木材や金属など、アスベストを含まないことが明らかな材料のみを扱う作業
  • 2006年9月1日以降に着工したことが書面で明らかな建物の工事
  • 下地を削らない、塗料の塗り重ねのみの作業

これらに該当しない限り、原則として全ての工事で事前調査が必要です。そして、これらの条件に当てはまるかどうかの最終的な判断は、専門的な知識がなければ困難な場合が少なくありません。

判断に少しでも迷った際は、安易に「不要」と結論づけるのではなく、有資格者に相談し、必要であれば調査を行うことが、事業者様ご自身のリスク管理として最も賢明な選択と言えます。そして、その調査の信頼性を確かなものにするのが、私たちHAKUTOアスベスト分析センターの役割です。

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

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