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2025.08.01

【写真で解説】スレート屋根のアスベスト|見分け方とメンテナンス・処分方法

「うちの家の屋根、よくあるスレートだけどアスベストは大丈夫?」
「屋根の塗装を考えているけど、何か注意すべきことはある?」

戸建て住宅の屋根材として広く普及している「スレート」。軽量で施工しやすいため多くの住宅で採用されてきましたが、過去の製品には耐久性を高める目的でアスベストが使用されていました。そのため、ご自宅の屋根にアスベストが含まれているのではないかと、不安を感じている方は非常に多いです。

この記事では、そんなスレート屋根のアスベストに関するあらゆる疑問にお答えします。

  • アスベスト含有スレートの見分け方
  • 安全なメンテナンス方法と、やってはいけないNG作業
  • 法律に則った正しい処分方法と費用感

これらの情報を、専門家の視点から写真付きで分かりやすく解説します。ただし、目視での判断には限界があり、最終的な確定には専門機関による「分析」が不可欠です。この記事を通じて、ご自宅の屋根の状態を正しく理解し、安全な次の一歩を踏み出すための知識を身につけましょう。

スレート屋根とアスベストの基礎知識

まず、一般的に「スレート」と呼ばれる屋根材は、セメントを主成分とした薄い板状の建材です。「コロニアル」や「カラーベスト」といった商品名で広く知られています。かつては、このセメントの強度を補強し、耐火性や耐久性を向上させるために、アスベストが混ぜられていました。

日本の法律では、2006年以降、アスベスト含有率0.1%を超える製品の製造・使用は原則禁止されています。しかし、それ以前に建てられた住宅の多くには、アスベスト含有スレートが今も使われ続けているのが現状です。

【写真で比較】アスベスト含有スレート屋根の見分け方

ご自宅の屋根がアスベストを含んでいるかどうかの目安となる、3つのチェックポイントをご紹介します。

ポイント1住宅の建築・屋根の施工年代を確認する

最も重要な判断基準は「年代」です。アスベスト含有スレートは、主に1961年から2004年にかけて製造・販売されていました。ご自宅の設計図書や仕様書、過去の工事契約書などを確認し、建築年が2006年以前である場合、あるいは屋根のリフォームを2006年以前に行っている場合は、アスベスト含有の可能性を考慮すべきです。

ポイント2見た目の特徴と劣化症状をチェックする

アスベスト自体は目に見えませんが、屋根材の劣化状態は飛散リスクを知る上で重要です。

健全な状態:表面が比較的滑らかで、色艶も残っています。

劣化のサイン:

  • コケ・カビの付着:屋根の防水性が低下し、表面が湿気を帯びやすくなると、緑色のコケや黒いカビが発生します。
  • 色あせ・塗膜の剥がれ:表面を保護している塗膜が劣化し、色が変わったり、パリパリと剥がれたりします。
  • ひび割れ・欠け(クラック):外部からの衝撃や経年劣化で、屋根材自体にひびが入ったり、角が欠けたりします。このような状態になると、内部のアスベスト繊維が飛散しやすくなり、危険性が高まります。

ポイント3製品名で調べる(専門家による方法)

設計図書などに屋根材の製品名(商品名)が記載されている場合、国土交通省のデータベースなどでアスベスト含有の有無を照会できることがあります。これは専門家が行う調査手法の一つですが、情報が残っていれば有力な判断材料となります。

スレート屋根の安全なメンテナンス方法

アスベスト含有スレート屋根のメンテナンスでは、繊維を飛散させないことが絶対条件です。

NG作業絶対にやってはいけないメンテナンス

  • 高圧洗浄:劣化して脆くなった屋根の表面を、高圧の水で削り取ってしまう行為です。アスベスト繊維を大量に飛散させ、近隣にも被害を及ぼす可能性があり、非常に危険です。
  • ドリルでの穴あけ・切断:知識なくソーラーパネルを設置したり、屋根材をDIYで加工したりすると、切断面から大量の粉じんが発生し、アスベストを吸い込む原因になります。

推奨されるメンテナンス方法

  • 塗装による封じ込め:既存の屋根材の上から専用の塗料を塗り、アスベストを内部に封じ込める方法です。比較的安価で、屋根の寿命を延ばすことができます。重要なのは、高圧洗浄のような乱暴な下地処理を行わず、アスベストに詳しい専門業者に依頼することです。
  • カバー工法(重ね葺き):既存のスレート屋根を撤去せず、その上から新しい軽量な屋根材(ガルバリウム鋼板など)を被せる工法です。アスベストを飛散させるリスクが低く、解体・処分費用もかからないため、近年主流となっています。

アスベスト含有スレートの処分方法と費用

葺き替えなどでスレートを撤去する場合、それは「産業廃棄物」として法律に基づき適正に処理する必要があります。

処分プロセス:専門の許可業者が、湿潤化させて飛散を防止しながら慎重に屋根から剥がし、破れない丈夫な袋で二重に梱包し、許可を受けた中間処理施設や最終処分場へ運搬します。個人のDIYで剥がして一般ごみとして出すことは、絶対にできません。

処分費用:スレートの処分費用は、屋根の面積や立地条件によって変動しますが、一般的に1㎡あたり2,000円~5,000円程度が目安です。これに足場代や新しい屋根材の費用が加わり、屋根全体の工事費となります。

最も確実な方法は「専門家による分析」です

これまで解説した見分け方は、あくまで状況証拠からの「推定」です。「うちの屋根は2000年築だから、たぶんアスベスト入りだろう」「ひび割れがあるから、飛散が心配だ」こうした推定から一歩進み、科学的な根拠をもって「白黒」をはっきりさせ、最適なメンテナンスや工事計画を立てる唯一の方法が、専門機関による「分析調査」です。屋根材の小さな欠片を採取し分析することで、アスベストの有無と種類を100%確定できます。

スレート屋根のアスベスト対策は、正しい知識から

ご自宅のスレート屋根にアスベストが含まれているか不安に感じたら、まずは以下の点を確認しましょう。

  • 建築・施工年代が2006年以前か?
  • コケやひび割れなど、目に見える劣化症状はないか?
  • メンテナンスを検討する際は、高圧洗浄など危険な作業を避ける

そして、最も重要なのは、安易な自己判断をしないことです。塗装や葺き替えを検討する際は、必ずアスベストの知識が豊富な専門業者に相談してください。そして、その計画の第一歩として、まずは「分析調査」で屋根の現状を正確に把握することをお勧めします。

HAKUTOアスベスト分析センターでは、スレート屋根の破片など、少量のご検体からでも迅速・正確に分析し、お客様の不安を解消するお手伝いをいたします。お気軽にご相談ください。

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

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