アスベスト除去・解体工事の費用相場|レベル別の単価と総額を解説

「事前調査でアスベストが見つかった…除去するのに、一体いくらかかるのだろう?」
「解体費用の見積もりを取ったが、アスベスト除去費用がなぜこんなに高いのか分からない」
アスベストの除去や、アスベストが含まれる建物の解体工事にかかる費用は、建物の規模や状況によって数十万円から数千万円まで、非常に大きな幅があります。この費用の大部分を決定づけているのが、アスベストの「レベル(発じん性)」です。
アスベスト対策工事の費用は、単純な作業費ではありません。作業員や周辺環境の安全を守るための、法律で厳格に定められた「安全対策費」がその多くを占めます。そして、その安全対策は、アスベストの飛散しやすさを示す「レベル」に応じて全く異なるのです。
この記事では、アスベスト分析の専門家として、
- なぜ「レベル」によって費用が大きく変わるのか
- レベル1, 2, 3それぞれの具体的な費用相場(単価)
- 見積書でチェックすべき費用の内訳
について、徹底的に解説します。この記事を読めば、アスベスト除去費用の構造が明確になり、適正な価格で信頼できる業者を選ぶための知識が身につきます。
目次
アスベスト除去費用の大前提:「レベル」によって全てが変わる
まず最も重要なのは、アスベストの除去費用は、その建材の「レベル」によって決まる、という点です。レベルとは、アスベストの飛散性の高さ(危険度)を示す分類で、レベル1が最も危険性が高く、数字が大きくなるにつれて危険性が低くなります。
- レベル1(発じん性が著しく高い): 吹付けアスベストなど → 厳重な隔離と、高度な保護具が必要
- レベル2(発じん性が高い): 保温材や断熱材など → 高度な飛散防止措置が必要
- レベル3(発じん性が比較的低い): スレート屋根やPタイルなど → 丁寧な手作業と湿潤化が基本
法律では、このレベルごとに実施すべき安全対策が厳格に定められています。隔離空間の設置(隔離養生)、粉じんを外部に漏らさないための負圧集じん装置、作業員の身体を清浄にするためのエアシャワーなど、レベル1に近づくほど、大掛かりで専門的な設備と手順が必要となり、それがそのまま費用に反映されるのです。
レベル別アスベスト除去・解体工事の費用相場

レベル1吹付け材等の費用相場
・費用相場(m2単価):20,000円 ~ 85,000円/㎡
・主な対象建材: 吹付け石綿、石綿含有吹付けロックウールなど
・なぜ高額なのか?
レベル1は最も飛散性が高く、作業は厳戒態勢で行われます。作業場全体をプラスチックシートで完全に密閉し(隔離養生)、内部の気圧を外部より低く保つ「負圧集じん・排気装置」を設置します。作業員は専用のエアシャワー室を通って出入りし、宇宙服のような送気マスクを着用します。こうした大掛かりな設備と、高度な専門技術が必要なため、費用は最も高額になります。
レベル2保温材・断熱材等の費用相場
・費用相場(m2単価):10,000円 ~ 60,000円/㎡
・主な対象建材: 配管の保温材、ボイラーの断熱材、けいそう土保温材など
・なぜ高額なのか?
レベル1ほどではありませんが、レベル2も飛散性が高いため、原則として作業場の隔離が必要です。作業内容に応じて、レベル1と同等の飛散防止対策が求められることもあります。除去する対象が配管のように複雑な形状であることも多く、手作業に手間がかかることも費用を押し上げる要因です。
レベル3スレート屋根・Pタイル等の費用相場
・費用相場(m2単価):2,000円 ~ 5,000円/㎡
・主な対象建材: スレート屋根、Pタイルなどの床材、外壁サイディングなど
・なぜ比較的安価なのか?
レベル3の建材は、アスベストがセメントなどで固められており、飛散しにくいのが特徴です。そのため、大掛かりな隔離は不要で、作業時の飛散を抑えるための湿潤化(水や薬剤で湿らせる)や、丁寧な手作業での除去が基本となります。保護具もDS2以上の防じんマスクで対応可能です。ただし、あくまでレベル1・2と比較して安価なだけであり、専門的な知識と手順が必要なことに変わりはありません。
見積書の内訳でチェックすべき項目

業者から見積もりを取った際は、以下の項目が含まれているかを確認しましょう。
- 仮設工事費: 足場の設置や、現場の養生シートなど。
- 除去作業費: 実際のアスベスト除去にかかる人件費や作業費。
- 隔離・養生費: レベル1・2の場合の、隔離空間の設置や負圧集じん装置などの費用。
- 廃棄物運搬・処分費: 除去したアスベストを、法律に基づき適正に処分場へ運搬・処分するための費用。
- その他: 保護具・機材費、各種行政への届出費用、空気環境測定費用など。
費用の前に、なぜ正確な「分析」が不可欠なのか
ここまで読んで、除去費用が「レベル」に大きく依存することがお分かりいただけたと思います。では、そのレベルを決定づけるのは何でしょうか?それは、事前調査における「分析」です。
建材の種類によって、レベルは決まります。そして、その建材にアスベストが含まれているか、含まれているとしてどのような種類かを100%確定できるのは、専門機関による分析調査しかありません。
「おそらくレベル3だろう」という憶測で見積もりを取っても、もし万が一レベル2の建材が見つかれば、費用は数倍に跳ね上がります。正確な除去費用を知るための第一歩は、まず正確な分析調査によって、リスクを確定させることなのです。
除去費用はレベルで決まる。まずは正確な分析を
アスベスト除去・解体工事の費用は、安全対策のレベルによって決まります。相場観をしっかり持ち、適正な見積もりかを判断しましょう。
- 費用の最大の決定要因は、アスベストの飛散性を示す「レベル」である。
- レベル1(2万~8.5万/㎡)は隔離措置などで最も高額。
- レベル2(1万~6万/㎡)も隔離が必要な場合が多く、高額。
- レベル3(0.2万~0.5万/㎡)は飛散性が低く、比較的安価。
- 正確な費用を知るためには、まず「分析調査」でアスベストの有無と種類を確定させることが不可欠。
アスベスト除去の見積もりで不明な点があれば、まずはその前提となる分析結果が正しいかを確認することが重要です。HUTOアスベスト分析センターは、お客様が安心して次のステップに進めるよう、正確無比な分析結果をご提供します。
アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。