アスベスト含有Pタイル(アスベストタイル)の見分け方|特徴・製造年代と安全な撤去の注意点を解説

学校の廊下や昔ながらのスーパー、オフィスの給湯室などで、硬くて光沢のある正方形の床タイルを見たことはありませんか?
あれは「Pタイル」と呼ばれる非常にポピュラーな床材ですが、古いものでは「アスベスト」を含んでいる可能性があり、注意が必要です。
「うちのビルの床もPタイルだけど、大丈夫だろうか?」
「ひび割れている箇所があるけれど、危険はないのか?」
「コストを抑えるために、自分で剥がしてリフォームできないか?」
この記事では、アスベスト分析の専門家である私たちが、多くの人が疑問に思うアスベスト含有Pタイルの見分け方、その危険性、そして絶対に守るべき撤去時の注意点について、詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- Pタイルとはどのような床材かがわかる
- アスベスト含有Pタイルの特徴と見分け方のヒントがわかる
- Pタイルが割れたり、剥がれたりした際の危険性がわかる
- なぜ自分でPタイルを撤去してはいけないのか、その理由がわかる
身近な床材に潜むリスクを正しく理解し、安全な環境維持にお役立てください。
目次
Pタイル(アスベストタイル)とは?
Pタイルとは「プラスチックタイル」の略称で、正式名称を「コンポジションビニル床タイル」と言います。塩化ビニル樹脂などを主原料とした、硬質のタイル状床材です。
耐久性が高く、土足での歩行にも耐え、価格も安価なことから、1950年代から現代に至るまで、学校、病院、店舗、オフィス、工場など、不特定多数の人が利用する施設の床に広く採用されてきました。
このPタイルの製造過程において、強度や耐摩耗性を向上させる目的で、充填材としてアスベストが混入されていました。そのため、古いPタイルは「アスベストタイル」とも呼ばれます。
アスベスト含有Pタイルの見分け方と特徴

Pタイルにアスベストが含まれているかどうかを完全に見分けるには、専門機関によるアスベスト分析が不可欠です。しかし、ある程度の当たりをつけるためのヒントはいくつか存在します。
1. 製造された年代を確認する
最も重要な判断基準は「製造年代」です。
1989年(平成元年)頃までに製造されたPタイルは、アスベストを含んでいる可能性が高いと考えられています。
国内メーカーは1980年代後半にアスベストの使用を自主規制し始めましたが、それ以前の製品には、ごく当たり前のようにアスベストが使用されていました。建物の竣工年が1990年以前である場合は、特に注意が必要です。
2. 見た目と物理的な特徴
- サイズ: 最も一般的なサイズは30cm角(303mm × 303mm)です。45cm角の製品も存在します。
- 硬さ: 非常に硬く、弾力性がありません。手で曲げようとしても曲がらず、無理な力を加えると「パリン」と割れてしまいます。クッションフロアのような柔らかさは全くありません。
- 厚み: 一般的には2mm程度のものが多いです。
- 模様: 単色のものもありますが、細かなチップが混ざったようなマーブル模様(石目調)が特徴的な製品が多く見られます。
3. 裏面を確認する(※注意が必要)
もしタイルが剥がれて裏面が見える場合、製造メーカー名や製品ロット番号が刻印されていることがあります。その情報を「石綿(アスベスト)含有建材データベース」などで照合することで、アスベストの有無を特定できる場合があります。
ただし、無理にタイルを剥がす行為はアスベストを飛散させる危険があるため、絶対におやめください。
Pタイルの危険性:レベル3でも油断できない「破損時のリスク」
アスベスト含有Pタイルは、アスベストがセメントや樹脂で固められている「非飛散性」の建材であり、危険度分類ではアスベストレベル3に該当します。
これは、タイルが健全な状態で床にしっかりと接着されている限り、通常の使用でアスベストが飛散するリスクは低いことを意味します。
しかし、問題となるのはタイルが破損した時です。
ひび割れ・欠け・摩耗による飛散
Pタイルは硬くてもろいため、長年の使用による劣化や、重量物の落下などで、ひび割れたり、角が欠けたりすることがあります。このような破損部分からは、アスベスト繊維が徐々に飛散する可能性があります。また、表面が摩耗して削れることでも、微量の繊維が放出されるリスクが考えられます。
最大の危険は「撤去作業」
Pタイルからアスベストが最も大量に飛散する可能性があるのが、リフォームや解体に伴う「撤去作業」の時です。
バールなどで無理に剥がそうとすると、タイルは簡単に割れてしまいます。その破断面から、閉じ込められていたアスベスト繊維が一気に空気中に放出されるのです。
絶対にしてはいけない!DIYでのPタイル撤去が危険な理由
「自分で剥がして、その上に新しい床材を敷けば安上がりだ」と考えるのは非常に危険です。
Pタイルの撤去は、法律で定められた適切な手順を踏まなければならない専門工事です。知識のないままDIYで作業を行うと、以下のような事態を招きます。
- 高濃度の粉じんを吸い込む: 割れたタイルから飛散したアスベストを、作業者本人が大量に吸い込んでしまいます。
- 室内環境を汚染する: 飛散したアスベストは長時間にわたって室内に浮遊し、家族など同居する人々にもばく露のリスクを及ぼします。
- 不法投棄になる: アスベスト含有Pタイルは「石綿含有産業廃棄物」です。一般ごみとして捨てることはできず、法律違反として重い罰則の対象となります。
Pタイルの安全な撤去・処分方法
アスベスト含有Pタイルを撤去する場合、石綿障害予防規則に基づき、以下の措置が義務付けられています。
- アスベスト事前調査の実施: まずは専門家が調査を行い、アスベストの有無を確定させます。
- 作業計画の作成: 飛散防止策などを盛り込んだ計画を立てます。
- 作業員の保護: 作業員は、防じんマスク(DS2区分以上)などの適切な保護具を着用します。
- 湿潤化: 作業前に床材を水や薬剤で湿らせ、粉じんの飛散を抑制します。
- 適切な工具の使用: 手工具での除去を基本とし、破砕を避けます。
- 専用の袋での梱包: 除去したタイルは、他の廃棄物と分け、丈夫なプラスチック袋に二重に入れるなどして厳重に梱包します。
- 許可業者による処分: 「石綿含有産業廃棄物」として、都道府県知事の許可を受けた専門の処理業者に引き渡し、適正に処分します。
まとめ:Pタイルのリフォームは、まず専門家による調査から
身近な床材であるPタイルに潜むアスベストのリスクについて、ご理解いただけたでしょうか。
- まとめのポイント1:1989年以前に製造された、30cm角で硬くてもろいマーブル模様の床タイルは、アスベストを含んでいる可能性が高い建材です。
- まとめのポイント2:Pタイルは通常の使用では安全ですが、ひび割れたり、欠けたりするとアスベストが飛散するリスクがあります。
- まとめのポイント3:撤去作業は最も危険な瞬間であり、DIYで剥がす行為は絶対にしてはいけません。法律に基づいた専門的な工事が必須です。
床のリフォームや解体を検討する際は、まずアスベスト事前調査を実施し、床材にアスベストが含まれているかどうかを科学的に確定させることが、安全な工事の絶対条件です。
私たちHAKUTOアスベスト分析センターは、その中核となるアスベスト分析を通じて、皆様が安心して次のステップに進むための、揺るぎない「事実」をご提供いたします。
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