2025.12.22

内壁・壁紙のアスベストはどこに注意すべき?自分で剥がすリスクと安全な対処法を解説

お部屋の印象を手軽に変えられる壁紙の張り替えや、壁の塗り替え。
DIYとしても人気の高い内装リフォームですが、古い建物の場合、その壁に「アスベスト」という見えないリスクが潜んでいることをご存知でしょうか。

「壁紙を剥がすだけだから大丈夫」「少し壁を削るだけだから問題ない」
その安易な判断が、ご自身やご家族の健康を深刻な危険に晒す可能性があります。壁に含まれるアスベストは、普段の生活では飛散しなくとも、リフォーム作業による穿孔や剥離、破壊といった行為で、容易に空気中へ飛散してしまうからです。

この記事では、アスベスト分析の専門家である私たちが、内壁や壁紙に潜むアスベストのリスクについて、「どこに注意すべきか」を具体的に解説し、ご自身で作業を行うことの危険性を強く警告します。

この記事でわかること

  • 内壁のアスベストで注意すべき3つのポイントがわかる
  • 壁紙自体に含まれる可能性は低いが、ゼロではないことがわかる
  • 最も注意すべきは「壁紙の裏の下地材」と「仕上げ塗材」であることがわかる
  • 自分で壁紙を剥がす行為がいかに危険かがわかる

安全な住環境を守るため、内壁のリフォームに潜むリスクと、正しい対処法を学びましょう。

内壁・壁紙のアスベスト:注意すべき3つのポイント

内壁のアスベストを考えるとき、リスクは1か所だけではありません。主に以下の3つのポイントに注意する必要があります。

  1. 壁紙(クロス)自体
  2. 壁紙の裏の下地ボード(石膏ボードなど)
  3. 仕上げ塗材(珪藻土、じゅらく壁、繊維壁など)

これらはそれぞれ異なる建材であり、アスベストが含まれている可能性や、その危険性(レベル)も異なります。一つずつ詳しく見ていきましょう。

ポイント1:壁紙(クロス)自体のアスベスト含有リスク

まず結論から言うと、一般的なビニールクロスなどの壁紙自体に、アスベストが含まれている可能性は極めて低いと考えられています。

過去に、アスベストを混ぜ込んだ「石綿壁紙」という製品が一部で製造・販売されていた記録はありますが、その流通量は非常に限定的でした。そのため、住宅などで使用されているケースは稀です。

しかし、「可能性はゼロではない」という点は覚えておく必要があります。特に、特殊な機能性(防火性など)をうたった古い壁紙や、海外製の壁紙については注意が必要です。

ポイント2:最も注意すべき!壁紙の裏の「下地ボード

内壁のアスベスト対策で最も警戒すべきは、壁紙の裏にある下地のボード材です。壁紙を剥がすと現れる、この壁の本体部分にアスベストが使われているケースが多くあります。

石綿含有石膏ボード

現在の石膏ボードにアスベストは含まれていませんが、1970年頃から1986年(昭和61年)頃までに製造された一部の製品には、耐火性や強度を増す目的でアスベストが混入されていました。「石膏プラスター」と呼ばれる塗り壁材にも同様のリスクがあります。

  • 危険性(飛散性): レベル3(非飛散性)
  • 見分け方: 見た目だけではアスベストの有無を判断することは不可能です。年代や製造メーカーの情報から推測しますが、最終的にはアスベスト分析でしか確定できません。

石綿含有けい酸カルシウム板 第1種

石膏ボードよりも硬く、より高い不燃性が求められる場所で使用されました。キッチンやボイラー室など、火の気がある場所の間仕切り壁や内壁によく使われています。

  • 危険性(飛散性): レベル3(非飛散性)
  • 見分け方: 非常に硬く、白やグレーの色をしています。こちらも見た目での判断は不可能です。

ポイント3:和室などに多い「仕上げ塗材

壁紙が貼られていない、塗り壁の部屋にも注意が必要です。壁の表面に塗られている「仕上げ塗材」にアスベストが混ぜられている可能性があります。

珪藻土(けいそうど)やじゅらく壁などの塗り壁材

2006年以前に施工された、珪藻土、じゅらく壁、砂壁、繊維壁、モルタル下地調整塗材などには、ひび割れ防止や強度向上の目的でアスベストが混入されていることがあります。

  • 危険性(飛散性): レベル3(非飛散性)※ただし、脆いものは飛散しやすい傾向あり
  • 見分け方: 見た目でアスベストの有無を判断することは絶対にできません。これらの塗り壁をリフォームする際は、必ず専門家による事前調査が必要です。

最大のリスク:なぜ自分で壁紙を剥がしてはいけないのか

ここまで読んでいただければ、なぜDIYでの壁紙張り替えが危険か、お分かりいただけるかと思います。

壁紙を剥がすという行為は、その下の「下地ボード」を傷つけたり、場合によっては破損させたりするリスクと隣り合わせです。もし、その下地ボードにアスベストが含まれていた場合、どうなるでしょうか。

  • 壁紙を剥がす際に、下地ボードの表面も一緒に剥がれてしまう。
  • ヘラやカッターで、下地ボードを削ってしまう、傷つけてしまう。
  • 剥がした壁紙の裏に、アスベスト含有の下地材が付着してくる。

これらの行為はすべて、レベル3(非飛散性)建材を意図せず「破壊」し、アスベスト繊維を室内空間に「飛散」させることに直結します。適切な防護具も知識もないまま作業を行えば、飛散したアスベストを直接吸い込むことになり、極めて危険です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 壁に画鋲や釘を打つだけでも危険ですか?

A1. 理論上は、下地ボードに微細な損傷を与えるため、ごく微量のアスベストが飛散する可能性はゼロではありません。しかし、そのリスクは極めて低いと考えられています。問題となるのは、リフォームのように建材を広範囲にわたって除去・破壊するような作業です。

Q2. リフォーム業者に「うちは大丈夫」と言われましたが、信用して良いですか?

A2. 口頭での「大丈夫」は根拠になりません。法律では、業者に対してアスベスト事前調査とその結果を書面で説明することが義務付けられています。必ず、資格者が調査した上で作成された「事前調査結果報告書」を見せてもらい、アスベストの有無を確認してください。

Q3. 賃貸マンションですが、勝手に壁紙を張り替えても良いですか?

A3. 絶対におやめください。アスベストのリスクはもちろん、そもそも賃貸物件の壁を無断で改変することは契約違反となります。リフォームを希望する場合は、必ず大家さんや管理会社に相談してください。アスベスト調査の義務は、工事の発注者または施工者にあります。

まとめ:壁のリフォームは「まず調査」が鉄則

内壁や壁紙に潜むアスベストのリスクについて、ご理解いただけたでしょうか。

  • まとめのポイント1:壁紙自体のアスベスト含有リスクは低いですが、その裏にある「下地ボード」や、和室などの「仕上げ塗材」にアスベストが含まれている可能性は十分にあります。
  • まとめのポイント2:自分で壁紙を剥がす行為は、アスベスト含有の下地材を破壊し、室内にアスベストを飛散させる大変危険な行為です。絶対にやめてください。
  • まとめのポイント3:壁の内装リフォームを行う際は、どのような小規模な工事であっても、必ず専門家によるアスベスト事前調査を行い、安全を確認してから着手することが法律で義務付けられています。

見た目がきれいな壁紙の内側に、静かなリスクが潜んでいるかもしれません。その存在を無視して手軽さや費用を優先することは、何物にも代えがたい「健康」を損なうことにつながります。安全な住環境を守るため、まずは専門家にご相談ください。

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

タグ一覧

お問い合わせ