X線回折分析(XRD)

「X線回折分析(XRD)」とは?│専門用語を簡単に解説!~アスベスト分析用語集~

こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
前回は、職人の眼力がモノを言う「偏光顕微鏡法」についてお話ししましたが、今回はもう一つの主役、「X線回折分析(エックスせんかいせつぶんせき)」について解説します。
英語では「X-Ray Diffraction」といい、頭文字をとってXRD(エックスアールディー)とも呼ばれます。

こちらは顕微鏡とは違い、機械の力でアスベストの「指紋」を読み取るような、ハイテクな分析手法なんであります。

主任分析員のたっくん

X線回折分析(XRD)」とは

X線回折分析とは、試料にX線(レントゲンと同じ種類の光)を照射し、そこから反射(回折)してくる波のパターンを読み取ることで、「その物質が何であるか」を特定する分析手法です。

すべての鉱物は、原子が規則正しく並んだ「結晶構造」を持っています。
そこにX線を当てると、その結晶構造特有の角度で強い反射(ピーク)が現れます。このピークの現れ方は、クリソタイルやアモサイトなど、アスベストの種類によって決まっているため、言わば「鉱物の指紋」のようなものなんです。

XRD装置が読み取った「指紋(チャート)」と、データベースにある「アスベストの指紋」を照合することで、確実に種類を特定できるというわけであります。

アスベスト分析における役割

現在、日本のアスベスト分析規格(JIS A 1481シリーズ)において、XRDは非常に重要な役割を担っています。

  • 定性分析(JIS A 1481-2)
    「JIS A 1481-2」という方法では、まずこのXRDを使って「アスベストの候補」を見つけ出し、その後に顕微鏡(位相差・分散染色法)で確定診断を行うという手順がとられます。
  • 定量分析(JIS A 1481-3)
    「JIS A 1481-3」という方法では、XRDを使ってアスベストの含有率(%)を算出します。基底標準吸収補正法という難しい名前の技術を使いますが、機械的に数値を出すため、計算の再現性が高いのが特徴です。

偏光顕微鏡法(PLM)との違い

前回解説した偏光顕微鏡法とは、アプローチが全く異なります。

  • 偏光顕微鏡法(PLM):
    分析員が「目」で見て、繊維の形や色(光学的性質)を確認する。
    → 微量なアスベストや、1本1本の繊維を見つけるのが得意。
  • X線回折分析(XRD):
    機械が「波」を読み取り、結晶構造のデータを確認する。
    → 試料全体の平均的な構成や、定量的な数値を出すのが得意。

それぞれに得意・不得意があるため、現在の公定法では、これらをうまく組み合わせて(あるいは目的に応じて使い分けて)分析を行っているのであります。

たっくんの
ワンポイントアドバイス!

  • 万能ではない?「妨害ピーク」に注意
    XRDは優秀な機械ですが、弱点もあります。それは、アスベスト以外の鉱物(例えば粘土鉱物など)が、アスベストと似たような場所にピークを出してしまう場合があることです(これを「妨害」といいます)。だからこそ、最終的には人の目(顕微鏡)による確認や、熟練の分析員によるデータの精査が必要なんですよ。
  • 分析報告書で「分析方法」をチェック!
    お手元のアスベスト分析報告書には、分析方法として「JIS A 1481-2(XRD)」や「JIS A 1481-1(PLM)」といった記載があるはずです。どの機械を使って分析したのか、ぜひ注目してみてくださいね。

さらに詳しく知りたい方へ

分析機器の違いやJIS規格については、以下のコラムで詳しく解説しています。

私たちHAKUTOアスベスト分析センターでは、最新のX線回折装置(XRD)と熟練の分析員による高精度な分析を提供しております。ご不明な点があれば、いつでもお問い合わせください!

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

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