2026.01.12

断熱材・保温材のアスベストとグラスウールとの見分け方|危険性の違いと注意点を解説

壁の中や天井裏、ボイラーの配管などに使われている、綿のようなフワフワとした断熱材。
リフォームや解体の現場でこうした断熱材を目にしたとき、「これは安全なグラスウールだろうか?それとも危険なアスベストだろうか?」と不安に思ったことはありませんか。

アスベスト含有断熱材と、現在主流の断熱材であるグラスウールは、見た目が似ているものもあり、その見分けは非常に困難です。しかし、この二つは危険性が全く異なります。前者は吸い込むと深刻な健康被害を引き起こすレベル1・2の危険物、後者は安全な建築材料です。

この記事では、アスベスト分析の専門家である私たちが、アスベスト含有断熱材と安全なグラスウールとの見分け方、その危険性、そして正しい対処法について、写真も交えながら詳しく解説していきます。

この記事でわかること

  • アスベスト含有断熱材・保温材の危険性と種類がわかる
  • 安全なグラスウールとの具体的な見分け方のポイントがわかる
  • なぜ自己判断で断熱材に触れてはいけないのか、その理由がわかる
  • 断熱材のアスベストが疑われる場合の正しい対処法がわかる

見えない場所に潜むリスクを正しく理解し、安全な対策へと繋げましょう。

アスベスト含有断熱材・保温材とは?(レベル1・2の危険物)

まず、問題となるアスベスト含有断熱材について解説します。これらは、その優れた耐熱性・不燃性から、主に熱を発する場所や火災から建物を守る目的で、1980年代頃まで広く使用されていました。
最大の特徴は、飛散性が非常に高いレベル1またはレベル2に分類されることです。

1. 吹付けアスベスト(レベル1)

鉄骨の耐火被覆や、機械室の吸音・断熱材として、アスベストを直接吹き付けたものです。綿状で非常に脆く、わずかな刺激で大量の繊維が飛散する、最も危険な断熱材です。

2. 石綿含有保温材(レベル2)

ボイラー本体や配管、空調ダクトなどに、熱を逃がさない目的で巻き付けられた板状または筒状の断熱材です。布や金属板で覆われていることが多く、内部の状態は外からでは分かりません。劣化すると、カバーの隙間からアスベスト繊維が漏れ出すことがあります。

これらの断熱材・保温材は、その飛散性の高さから、除去作業には厳重な隔離措置や届出が法律で義務付けられています。

グラスウールとは?(アスベストとは無関係の安全な断熱材)

一方、グラスウールは、リサイクルガラスなどを高温で溶かし、遠心力で吹き飛ばして綿状に成形した「ガラス繊維」です。現在、住宅の壁や天井などで最も一般的に使われている断熱材です。

国際がん研究機関(IARC)による評価でも、グラスウールは「人に対する発がん性に分類されない」グループ3に分類されており、紅茶やコーヒーなどと同じカテゴリーです。アスベスト(グループ1:発がん性がある)とは全く異なる、安全な物質です。

【比較】アスベスト含有断熱材とグラスウールとの見分け方

では、この危険なアスベスト含有断熱材と、安全なグラスウールをどのように見分ければよいのでしょうか。いくつかのポイントがありますが、これらはあくまで目安であり、最終的な判断は分析でしかできないことを念頭に置いてください。

1. 見た目・色で比較する

  • アスベスト含有断熱材: 吹付けアスベストには、青みがかった「青石綿」、茶褐色の「茶石綿」、最も多い「白石綿」などがあり、色は青、茶、白、灰色など多様です。経年劣化で黒っぽく変色していることもあります。
  • グラスウール: 製品によって様々ですが、鮮やかな黄色や白色のものが主流です。ガラス繊維のキラキラとした光沢が見えることがあります。

2. 質感・触感で比較する(※絶対に触らないでください)

警告:以下の特徴は知識として知るためのものであり、ご自身で確認するために絶対に断熱材に触れないでください。

  • アスベスト含有断熱材: 綿のように柔らかく、非常に脆いのが特徴です。指でつまむと簡単に崩れ、粉っぽさを感じます。
  • グラスウール: ガラス繊維のため、素手で触るとチクチクとした刺激があります。繊維が太く、アスベストのように簡単には粉々になりません。

3. 使用年代で比較する

建物の建築年や改修年が分かれば、有力な手がかりになります。

  • アスベスト含有断熱材: 飛散性の高い吹付けアスベストは1975年(昭和50年)に原則使用禁止、保温材なども含めて1995年(平成7年)には実質的に使用されなくなりました。特に1980年以前の建物は注意が必要です。
  • グラスウール: 古くから存在しますが、アスベスト規制が強化された1980年代以降に、住宅用断熱材として急速に普及しました。

4. 使用場所で比較する

典型的な使われ方にも違いがあります。

  • アスベスト含有断熱材:
    • 鉄骨造のビルや工場の柱・梁・天井裏(耐火被覆)
    • ボイラー室や機械室の配管・ダクト(保温材)
  • グラスウール:
    • 木造住宅の壁の中、天井裏、床下(充填断熱材)

自己判断が最も危険!見分けが困難なケース

ここまで見分け方を解説しましたが、これらはあくまで典型例に過ぎません。実際には、

  • ロックウール(岩綿)にアスベストを混ぜた吹付け材
  • グラスウールとアスベスト保温材が同じ配管で使われている

など、専門家でも見た目だけでは判断が極めて困難なケースが数多く存在します。

特に、壁の中や天井裏、配管のカバーの内部は、一般の方が安全に確認できる場所ではありません。断熱材を自分で剥がしたり、壁に穴を開けたりする行為は、もしそれがアスベストだった場合、レベル1・2の粉じんを室内に撒き散らす最悪の事態を引き起こします。

よくある質問(FAQ)

Q1. ロックウール(岩綿)とアスベストは違うものですか?

A1. はい、全く違うものです。ロックウールは玄武岩などを原料とする人造鉱物繊維で、グラスウールと同様に安全な断熱材です。しかし、過去にはロックウールにアスベストを混ぜて使用していた時期があるため、「ロックウールだから大丈夫」と判断するのは危険です。

Q2. グラスウールはチクチクしますが、体に害はないのですか?

A2. グラスウールの繊維は太く、呼吸で肺の奥まで到達することはありません。皮膚への刺激は一時的なもので、洗い流せば取れます。アスベストのように体内に残留して病気を引き起こすことはありません。

Q3. 断熱材のアスベストが疑われる場合、どうすれば良いですか?

A3. まずは、その場所に近づかない、触らないことを徹底してください。そして、速やかに専門のアスベスト調査会社に連絡し、アスベスト事前調査を依頼してください。専門家が安全を確保した上で調査し、必要であれば検体を採取してアスベスト分析を行います。

まとめ:断熱材の「綿」は、まずアスベストを疑うことから

壁の中や配管に巻かれた断熱材・保温材に潜むアスベストのリスクについて、ご理解いただけたでしょうか。

  • まとめのポイント1:アスベスト含有断熱材は、非常に飛散しやすいレベル1・2の危険物です。一方、グラスウールは安全なガラス繊維であり、全くの別物です。
  • まとめのポイント2:色や質感、年代で見分けるヒントはありますが、ロックウールとの混合など判断が困難なケースが多く、見た目だけでの自己判断は絶対にできません。
  • まとめのポイント3:断熱材に触れたり、自分で剥がしたりする行為は、アスベストを飛散させる最も危険な行為の一つです。疑わしい場合は、ただちに専門家に相談してください。

普段見えない場所に隠れているからこそ、断熱材のアスベストは見過ごされがちです。しかし、その危険性は他のどの建材よりも高い可能性があります。リフォームや解体の際には、必ず専門家による調査を行い、安全を最優先に進めることが不可欠です。

アスベストの定性分析が必要な時は、当社にご相談ください。
お客様の状況に合わせた最適なご提案をさせていただきます。

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