リフォーム・改修工事(アスベスト関連)

「リフォーム・改修工事(アスベスト関連)」とは？│専門用語を簡単に解説！～アスベスト分析用語集～

こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
お住まいをより快適にするためのリフォームや、建物の機能を維持するための改修工事は、多くの方にとって身近な工事でありますな。しかし、その工事の裏には、「アスベスト飛散」という目に見えない大きなリスクが潜んでいる可能性があることを、皆様はご存知でしょうか。

特に2006年以前に建てられた建築物の場合、壁を一枚剥がしたり、床材を交換したりといった比較的小規模な工事であっても、アスベストを飛散させてしまう危険性があります。

本日は、安全なリフォーム・改修工事に不可欠なアスベストの知識について、その重要性と具体的な注意点を解説してまいります。

なぜリフォーム・改修工事でアスベスト対策が重要なのか？

解体工事と違い、リフォーム・改修工事は居住者や利用者がいる環境で作業が行われることも少なくありません。もし、知らずにアスベスト含有建材を切断したり、穴を開けたりすれば、飛散したアスベスト繊維を作業員だけでなく、お客様ご自身やご家族、近隣の方々が吸い込んでしまうという、最悪の事態を招きかねません。

このような危険を未然に防ぐため、法律（石綿障害予防規則）では、工事の規模の大小にかかわらず、解体だけでなくリフォーム・改修工事においても、必ずアスベスト事前調査を行うことが厳格に義務付けられております。

すべてのリフォーム・改修工事で事前調査は必要か？

原則として、建築物のリフォーム・改修工事を行う際には、すべての工事でアスベスト事前調査が必要となります。

「壁紙の張り替えだけだから大丈夫」「キッチンの入れ替えだけだから関係ない」といった自己判断は、絶対にしてはなりません。例えば、壁紙を剥がした下地の石膏ボードや、床材（Pタイルなど）を剥がす際に使う接着剤にアスベストが含まれているケースは、決して珍しくないからであります。

ただし、釘を打って固定する、既存の材料の上から新しい材料を重ねて張るなど、「材料の除去や加工を伴わない、極めて軽微な損傷しか及ぼさない作業」については、事前調査が不要となる例外もございます。しかし、その判断は専門家でなければ難しいため、まずはアスベスト調査会社に相談するのが賢明と言えましょう。

工事の種類ごとの注意点

アスベストは、建物の様々な場所で使用されている可能性があります。ここでは、代表的なリフォーム・改修工事の種類ごとに、特に注意すべき点を見てまいりましょう。

1. 内装リフォーム（壁・天井・床）

壁・天井: 壁紙の裏の下地材（石膏ボード、けい酸カルシウム板）、天井裏の吹付け材や断熱材に注意が必要です。
床: ビニル床タイル（Pタイル）やその接着剤、長尺シートなどが対象となります。

2. 外壁の改修・塗装工事

外壁自体（サイディングなど）に加え、表面に塗られている仕上塗材（リシン、スタッコなど）にアスベストが含まれている可能性があります。塗装前の高圧洗浄やケレン（下地調整）作業で飛散するリスクがあります。

3. 屋根の葺き替え・補修工事

スレート屋根（コロニアル、カラーベスト）は、代表的なアスベスト含有建材であります。屋根材を剥がしたり、割ったりする際に繊維が飛散する危険性があります。

たっくんの
ワンポイントアドバイス！

本日は「アスベスト関連のリフォーム・改修工事」について解説いたしましたが、ご理解いただけましたでしょうか。最後に、重要な点をまとめておきましょう。

ポイント1
リフォーム・改修工事でもアスベスト事前調査は法律上の義務であります。「少しの工事だから」という油断が、深刻な健康被害に繋がる危険性をはらんでいます。
ポイント2
壁、天井、床、外壁、屋根など、建物のあらゆる場所にアスベストが使用されている可能性があります。工事対象の箇所だけでなく、その周辺の建材にも注意を払うことが重要であります。
ポイント3
工事の計画段階で、施工を依頼する業者に「アスベスト事前調査はどのように行いますか？」と必ず確認いたしましょう。その対応が、信頼できる業者かどうかを見極める一つの試金石となりますぞ。