「図面調査」とは?│専門用語を簡単に解説!~アスベスト分析用語集~
こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
前回までは、アスベストを取り巻く法律や資格者について解説いたしましたが、本日からは、事前調査の具体的なプロセスに踏み込んでまいります。
その輝かしい第一歩が、本日解説いたします「図面調査」なのであります。
これは、いわば現場に出る前の「作戦会議」のようなもので、この調査を疎かにしては、精度の高い調査は望めないのであります。
それでは、まいりましょう。

「図面調査」とは
「図面調査」とは、その名の通り、建物の設計図書や仕様書といった書類(文献)を確認し、アスベスト含有建材が使用されている可能性がある場所や建材を、机上で事前に把握する調査のことであります。
「文献調査」とも呼ばれますな。これは、アスベスト事前調査の3つのステップ(図面調査→目視調査→分析調査)のうち、最初に行われる、大変重要な情報収集の段階なのであります。
いきなり現地へ赴くのではなく、まずは書類から得られる情報を整理し、どこを重点的に見るべきかの「あたり」をつける。これが、効率的で精度の高い調査を実現するための鍵となるのです。
図面調査で確認する主な書類
調査者が主に確認するのは、以下のような、建物の履歴を示す公式な記録書類であります。
- 設計図書、竣工図
建物の設計や、実際に建てられた際の図面です。建物の構造や、壁・天井などの仕上げ材の種類が記載されており、アスベスト含有建材の有無を推定する上で最も基本となる資料であります。 - 仕様書
工事で使用する材料の品質や性能を定めた書類です。ここに建材の具体的な製品名などが記されていれば、メーカーの製造年データなどと照合し、アスベスト含有の有無を高い精度で判断できる場合がございます。 - 過去の改修工事の記録・契約書
いつ、どの部分をリフォームしたかが分かる書類も重要です。例えば、1990年に建てられたビルでも、2010年に内装を全面改修していれば、その部分のアスベストリスクは低い、と判断できるのであります。
図面調査の重要性と限界
図面調査を丁寧に行うことで、その後の現地調査(目視調査)を効率的に進めることができます。しかし、この図面調査だけでは、アスベストの有無を100%確定させることはできませぬ。
なぜなら、
- 実際の施工が、図面通りに行われていない場合がある
- 小規模な修繕や、図面に残らないDIYなど、記録がない変更が加えられている可能性がある
- そもそも、古い建物では図面自体が残っていないケースも多い
といった限界があるからであります。図面調査はあくまで「仮説」を立てる段階であり、その仮説が正しいかどうかを、次の「目視調査」と、最終的な「分析調査」で検証していく必要があるのであります。
たっくんの
ワンポイントアドバイス!
- 事前調査の「第一歩」であり「羅針盤」です
この図面調査なくして、効率的で正確な現地調査はあり得ません。工事計画の初期段階で、まずこれらの書類が手元にあるかを確認することが、大変重要であります。 - 施主(発注者)様のご協力が鍵となります
設計図書などの書類は、建物の所有者様が保管されていることがほとんどです。調査をスムーズに進めるためには、これらの書類を事前にご準備いただき、調査者にご提示いただくことが、何よりの協力となるのであります。 - 図面だけで「無し」と判断するのは危険です
たとえ図面にアスベストの記載がなくとも、それだけで「アスベストは無い」と断定することはできません。必ず、次のステップである専門家による現地での「目視調査」が必要不可欠なのであります。
さらに詳しく知りたい方へ
本日は調査の第一歩である「図面調査」を解説しましたが、調査全体の流れを復習されたい場合は、「アスベスト事前調査」のページをご参照ください。
図面調査や目視調査で判明しなかった建材の最終的な白黒を付ける「アスベスト分析」は、ぜひ私たちHAKUTOアスベスト分析センターにご用命ください。
よく見られている用語
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