「工作物石綿事前調査者」とは?│専門用語を簡単に解説!~アスベスト分析用語集~
こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
前回は、ビルや住宅といった「建築物」の調査を行う専門家について解説いたしましたが、アスベストのリスクは建築物だけに留まるものではございません。
本日は、煙突やプラント設備といった「工作物」の調査に特化した専門資格、「工作物石綿事前調査者」について解説してまいります。
「こうさくぶつ せきめん じぜんちょうさしゃ」と読みます。これもまた、安全確保に不可欠な専門家なのであります。それでは、まいりましょう。

「工作物石綿事前調査者」とは

「工作物石綿事前調査者」とは、その名の通り、煙突やプラント設備といった「工作物」のアスベスト事前調査を行うために必要な、専門の資格を持つ人のことであります。
アスベストの事前調査は、調査対象が一般的な「建築物」か、それ以外の「工作物」かによって、求められる資格が異なります。この資格者は、建築物とは異なる特性を持つ工作物のアスベスト調査に特化した知識と技術を有していることを国から認められた専門家、という訳なのであります。
「工作物」の定義
法律上、アスベスト調査の対象となる「工作物」とは、建築物以外の人工的な構造物を指し、具体的には以下のようなものが例として挙げられます。
- 反応槽、加熱炉、ボイラー、圧送機など: 工場の製造設備(プラント)など
- 配管(保温材・パッキン等含む): 長距離にわたるパイプラインや、設備間の配管など
- 焼却施設、煙突: ごみ処理施設や工場の排煙設備など
- 貯蔵槽(サイロなど)、コンベア、エレベーター
- トンネル、橋梁、ダム、ずい道 など
これらは、住宅やビルとは異なり、高温になる部分の断熱材や、部品をつなぐパッキンなどに、特殊なアスベスト含有建材が使用されていることが多いのが特徴であります。
建築物調査者との違い
一言で申し上げますと、調査対象の専門分野が異なります。
- 建築物石綿含有建材調査者:
住宅やビルなど、人が居住・利用する「建築物」の壁、床、天井などに使われる建材の知識を専門とします。 - 工作物石綿事前調査者:
プラントや煙突といった「工作物」の構造や、そこで使われる保温材や断熱材、シール材といった、特殊な材料に関する知識を専門とします。
法律では、それぞれの対象物に応じた資格者が調査を行うよう定められています。例えば、工場の建屋(建築物)の調査は「建築物」の調査者が、その内部にある製造設備(工作物)の調査は「工作物」の調査者が行う、といった具合に、明確な役割分担が必要なのであります。
たっくんの
ワンポイントアドバイス!
- 「建築物」と「工作物」は、調査資格が別です
アスベスト事前調査を依頼する際は、まず対象がどちらに該当するのかを正確に把握し、適切な資格を持つ調査者に依頼することが、法令遵守の第一歩であります。 - プラントや工場をお持ちの事業者は特に重要です
製造設備やボイラー、配管といった「工作物」は、まさにこの資格者の専門領域です。設備の改修や解体を計画される際は、必ずこの資格の存在を念頭に置いてください。 - 調査プロセスは同じでも、見るべきポイントが異なります
図面調査、目視調査、そして分析調査という流れは建築物と同じですが、工作物特有の建材や使用箇所を見抜く、専門的な知見が求められます。そして、ここでも最終的な判断の根拠となるのは、科学的な「分析」なのであります。
さらに詳しく知りたい方へ
本日は「工作物」の調査者に焦点を当てましたが、対となる「建築物」の調査者については、用語集の「建築物石綿含有建材調査者」で詳しく解説しております。
また、調査全体の基本的な流れについては、「アスベスト事前調査」のページで復習できますので、併せてご確認いただくことを推奨いたします。
建築物であれ、工作物であれ、有資格者による調査の結果、専門的なアスベスト分析が必要となった際には、ぜひ私たちHAKUTOアスベスト分析センターにご用命ください。
よく見られている用語
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