「大気汚染防止法」とは?│専門用語を簡単に解説!~アスベスト分析用語集~
こんにちは。HAKUTOアスベスト分析センターにて主任分析員を務めております、たっくんです。
前回は、作業員の安全を守る「石綿則」について解説いたしましたが、本日はその対となる、もう一つの大変重要な法律、「大気汚染防止法」について解説してまいります。
「たいきおせんぼうしほう」と読みます。これは、工事現場の「外側」、すなわち周辺にお住まいの皆様や環境を守るための、事業者が負うべき社会的責任を定めたルールなのであります。
それでは、まいりましょう。

「大気汚染防止法」とは

「大気汚染防止法」とは、その名の通り、工場や事業場などから排出される有害物質から、国民の健康と生活環境を守ることを目的とした法律であります。
この法律の中で、アスベストは「人の健康に被害を生じるおそれがある物質」として特に厳しく規制されており、解体・改修工事の際には、この法律に定められたルールを必ず守らなければなりません。
前回解説した「石綿則」が現場の“内側”の安全を守るルールブックだとすれば、この大気汚染防止法は現場の“外側”の安全を守るルールブック、と理解すると分かりやすいでありましょう。
大気汚染防止法におけるアスベスト規制のポイント
この法律が、アスベストに関して事業者に求めていることは、主に以下の3点であります。
- 事前調査の実施義務
石綿則と同様に、工事の前にアスベストの有無を調査することが義務付けられています。これは、全ての対策の出発点となる、共通のルールなのであります。 - 作業基準の遵守義務
アスベストのレベルに応じて、飛散防止のための具体的な作業方法(作業基準)が定められており、事業者はこれを遵守しなければなりません。例えば、除去作業中の湿潤化や、隔離措置などがこれにあたります。 - 届出の義務
これがこの法律の大きな特徴であります。レベル1、レベル2のアスベスト含有建材の除去など、「特定粉じん排出等作業」に該当する工事を行う場合、事業者は工事開始の14日前までに、都道府県知事等へ作業の計画を届け出る義務がございます。
「特定粉じん排出等作業」の定義
これは、吹付けアスベスト(レベル1)や、保温材(レベル2)など、飛散性の高いアスベスト含有建材の除去、封じ込め、囲い込み作業のことを指します。
これらの作業は、周辺環境への影響が特に大きいと懸念されるため、事前に「このような計画で、これだけの安全対策を講じて作業します」ということを、行政に届け出て許可を得る必要がある、という訳なのであります。
たっくんの
ワンポイントアドバイス!
本日は「大気汚染防止法」について解説いたしましたが、石綿則との違いをご理解いただけましたでしょうか。
- 「外側」の安全を守るための法律です
作業員だけでなく、近隣住民の皆様や環境を守るという、事業者の社会的責任を果たすための重要な法律であります。 - キーワードは「届出」です
特にレベル1・2の建材を扱う工事では、都道府県知事等への事前の「届出」が必須となります。この届出を怠ると、工事を開始することすらできないのであります。 - 違反には直接的な罰則がございます
届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合には「3ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が、作業基準を守らなかった場合には「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられる可能性がございます。
さらに詳しく知りたい方へ
本日は大気汚染防止法の概要を解説いたしましたが、この法律と対になる「内側」のルールについては、用語集の「3. 石綿則(石綿障害予防規則)」で詳しく解説しております。
また、届出の前提となる事前調査については、「1. アスベスト事前調査」のページで復習できますので、併せてご確認いただくことを推奨いたします。
これらの法律を遵守し、適切な届出や作業計画を作成するための、最も確実な根拠となるのが「アスベスト分析」であります。その際は、ぜひ私たちHAKUTOアスベスト分析センターにご用命ください。
よく見られている用語
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